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KEN-U
LABYRINTH OF LOVELYTHING
 
Interview by Norie Okabe / Photo by Riei Nakagawara
 

 東京のダンスホール・シーンを背負って立つシンガーKEN-Uの約3年ぶりのアルバムが到着した。同胞のMA$AMATIXXXを筆頭に、DJ Yutaka、Knockなど豪華プロデューサー陣、客演にENT DEAL LEAGUEの2人、Rudebwoy Faceなど招集した鉄壁の内容だ。
 
●タイトルのLabyrinth(=迷宮)という言葉に、KEN-Uさんらしさを感じました。
KEN-U(以下K):暗いですよね(笑)。『Labyrinth Of Lovelything』って、すごく好きなものであればあるほど迷い込んでしまう、我を忘れてしまうっていう意味で付けたんですけど、まさに僕の今の状態を示しているんですよ。ファーストの『Doko』でも"迷い"を表現して、2作目(『Next Cruising』)では自分の中で明確になった部分を表現して、3作目でもう一度、原点を見つめ直したという流れ。迷って見つけて、また迷ってるみたいな。だから今回は、前作あっての自信と、知ってしまったからこそ起きる不安と、両方が入り混じる中で、また1からやりたいことを探して、伝えたいことを形にした感じですね。
 
●葛藤したり迷走したり、でも順を追って聞いていくと、徐々に光が見えてくるような流れですね。それこそ最後は「迷わずに」で終わるという。
K:それも「迷わずにいくぞ」っていう自分への戒めなんですけど(笑)。迷路に迷いこんじゃって一体どこ行くの?ってままの終わり方にはしたくなかったので。自分は暗い曲、マイナー調の曲が大好きなんで、どうしてもそういう曲中心になっちゃうんですけど、やっぱり前向きであることは伝えたい。今こういうふうに悩んでいても、必ず未来はあるってことを伝えたかったんですよね。ポジティヴの意味を知ってる人っていうのは、ネガティヴの状態がわかっている人だと思うんですよ。ネガティヴを知らず「元気出そう」とかばっかり歌っていても能天気なだけだし、それは前向きということではないと思う。傷みを分け合う部分がないと伝わりにくいと思うんですよ。だから今回は"モヤモヤしたグレーの状態だけど、前向きで負けてない自分"っていうのを1枚で表現したくて。
 
●今回はヒップホップのビートが多いですよね。サウンド面で意識したことは?
K:すごく偏ったものを作りたいな、と。前作はワン・ドロップだったり、4つ打ちだったり、いろんな音をやってみたけど、それだといいとこ取り状態で方向性がバラバラになってしまう。もちろん、それはそれでバラエティに富んでていいっていう意見もあるけど、今回は1つの雰囲気を追求したかったんですよ。意識したのはダンスホール。ジャマイカ人は"ダンスホール"と"レゲエ"を分けて考えているけど、自分もそうで。今回、ヒップホップとかR&Bの要素が多いのはそこなんですよね。ジャマイカではヒップホップ、R&Bもガンガンかかるし、ダンスホールの現場でかかるものはすべてダンスホールという考え方。東京にもそういう側面があるし、僕の中でもそこにジャンルの線引きはないですね。
 
●Stephen McGregorとの表題曲なんて、まさしくそういう雰囲気が出てますね。
K:このオケは聞かせてもらった瞬間、「ヤベエ! コレだ!」って(笑)。毎回参加してもらってるLeft Sideに関してもそうなんだけど、彼らとは新しい古いっていう時代感とか、ダンスホールに対する感性とか、すごく通じる部分があります。
 
●そのLeft Sideとは、「Intro」で英語の掛け合いを披露!
K:フロウは自分で出して、言葉は彼に出してもらって一緒に作っていった曲。ネイティヴな発音はできてないけど、1つの挑戦としてやってみたかったんで。
 
●「Hey Lady」、「Imanimo」あたりのララヴ・ソングは、KEN-Uさんならではの味が出てますね。
K:ギャル・チューン書くのが大好きなんですよ(笑)。でもこれは、ふだんの生活や仕事でうまくいかないことを男女関係に例えて書いたところがあって。恋とか愛とかって万人に通じるトピックじゃないですか。より伝わりやすくしたいってことで、メタファー的にメッセージを込めたというか。難しいことばかり言っても暑苦しいし、フィーリングで聴いてもらえたらいいな、と。
 
●ShizooやDag Forceなどラッパー勢を迎えた曲もパンチが効いています。
K:彼らには、めちゃくちゃ黒いヴァイブスを感じる。そこが好きっすね。こういうレゲエとヒップホップの融合こそ、自分らの色だと思う。やっぱり何が一番大事かって個性だと思うんですよ。たとえば自分の中には、昔、無意識に聞いてた歌謡曲が染み付いているんだけど、歌謡曲は今でも大好きだし、これから先もずっと抜けないものだと思う。だから、本当に自分らしい音楽っていうのは、それをうまくダンスホールに融合していくことなわけで。いつも応援してくれている人たちがいて支えてもらってる以上は、自分も支えなくてはいけないと思うし、それには流されることなく、ありのままの自分をさらけ出して伝えることが大事。本気の言葉を歌にして、"KEN-U"であり続けなきゃいけない。そういう想いを胸に刻んで作ったアルバムですね。

 

「Labyrinth of Lovelything」
Ken-U
[Knife Edge / PCCA-03227 ]

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